休業中日記・4

過ごしやすい気候の日々が続いていますね~。

 

ええと、まずは営業再開に向けてのお知らせです。

来週、ふたりとも二回目のワクチン接種があります。

抗体ができるまでに2週間ほど、ということで、一応9月いっぱいはお休みを頂きまして

10月に入ったら通常営業再開としたいな、という予定でおります。

もともとそういう感じのスケジュールになるかな、と頭では思っていたのですが

感染者数も少しずつ減り始めているようなので、その点は安心ですね。

(とは言え、まだまだ病院は大変な状況が続いているようなので油断はできませんが。)

 

こんなに長くお休みを取ったことがない上に、こんなに外食しない日々もおそらく初めてなので

なんだか引きこもりモードの身体になってしまっている燗番、、

「ちゃんと営業再開して仕事に戻れるかなあ、、」と不安を漏らしたところ

「そんなの大丈夫に決まってるでしょ、ははは~」という答え。

ちゃらんぽらんな燗番に比べて、明日からでも仕事を再開できそうな勤勉で頼もしい店主です笑

 

 

今日の写真は、先日試作として頂いたすっぽんの小鍋です。

ひねもす冬の定番「すっぽん茶碗蒸し」も人気ですが(このブログでも何度かご紹介していますね)

やっぱり熱々の小鍋立ては格別ですね~

すっぽんの身もゴロゴロ。濃厚なスープが絡んだ焼き葱と豆富は御馳走です。

 

スタミナをつけよう!という意味で真夏のすっぽん鍋も良いですが

ちょうど気温が下がって「夜は肌寒いなあ」というタイミングだったので、あたたかいものが素直に嬉しく感じました。

(季節の変わり目ほど、お料理の温度に敏感になるような気がしますね。より気温が下がる/上がるのはその後であるはずなのに、不思議なことです。)

 

合わせてみたのは、奈良県の「大倉」の燗酒。

去年「秋あがり」として出されたシリーズです。(厳密に言うと、「秋あがり」ラベルの別誂えバージョン・・少し熟成方法の違うものです)

 

去年初めて飲んだ時にその仕上がりが素晴らしく、あまりに気に入ってしまって大量発注していたのですが

(去年いらしたお客様のかなりの割合の方がこのお酒を呑んでいるはず・・・それくらいおすすめしていたという笑)

もう少し寝かせておきたいな、と思い、何本かストックしておいたのです。

 

去年飲んだ時に好きだったのは、軽やかながら濃密な甘みもまたぎゅっと眠っているところでした。

その甘さが表面に出てベタベタとするわけではなく、主張しない酸もしっかりあるので、ひやのまま飲んだ時の印象は「バランスの良いお酒」。

しかし、その密度の高い甘みはあたためるとふわりと顔を出す・・・

熱々にしては流れていってしまい、ぬるいままではなんだか野暮ったい。

ぬる燗から熱燗へと温度が変化している、ちょうどその最中に、滴るような甘みが実現される。

・・なんていうと大袈裟なのですが笑

でもなんだか今までにつけたことの無いようなお燗がつけられたなあ、という気持ちがしてそれがとても楽しかったのです。

(実際、お酒そのものの味わいを好む方はとても多く、お料理にもよく合いました)

 

今年はどうなっているかな~とひやのまま一口。

「ん、嫌な予感・・・熟成香が強すぎるのでは、、、、」

というのが最初の感想だったのですが、いざ、お燗をつけてみると、、、、

 

そこにはなんとも言えない、まさに「旨味」のかたまりが。

あの濃密な甘味は、時間を経過して旨味に変化していました。

お燗して強い旨味が引き出されたことにより、最初に気になった熟成香もバランスが取れたように感じます。

 

いやはや、これが熟成の面白いところですよね。

最初に持っていたイメージとは勿論別のものになる。

でも、その最初のものとはまた別の価値が生み出されている。

「どちらの方が好き」ということを突き詰めてゆくのも大切ですが

「どっちも好きなんだよね」という感覚を、もっと大事にしてゆきたいなと思いました。

 

お酒は特に、出会った時のイメージが固まりやすいものだなと常々感じます。

お客様と話していても、

「あのお酒は一回呑んで苦手」「初めて飲んだあのお酒がおいしくて!」

というようなお話をよく伺います。

そうやって自分の好みを確立してゆく。それも勿論大切な作業だとは思います。

 

でも、お酒はその性質上、味わいも非常に不安定なもの。

それ故に一回きりの味わいが世界にはたくさんある。

自分のイメージの中になかったそのお酒の味わいを認めることは、一転してその人のお酒ライフを豊かにするのではないのかなあ。

 

こうやって考えると、お酒への愛情が深まる気がします。

開けたときはすごくおいしかったこのお酒、なんだかイマイチになっちゃったなあ

なんていうおうちのお酒も、視点を変えて良さを発見してあげられるかもしれません。

(視点を変えるには、合わせる料理や温度、呑むグラスなどを変えてみると良いですよ)

 

お酒の変化を愛すべく、一升瓶でお酒を買ってみるのも一興です。

家飲みがもっと楽しくなる事請け合いですよ。

 

 

特に書くことないなあと思っていたのですが、またしても思わぬ長文に・・笑

いつも読んで頂きありがとうございます。

それでは、また~

のたりのたり